僕とコードとブルーハワイ

omega (@equal_001) の日記

積読本 AdventCalendar 1日目

この記事は 積読本 AdventCalendar の1日目です。

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読んだ本

なぜ、出来る人から辞めていくのか? モチベーションを左右する本当の理由

最近、身近でバンバン辞めていく人が多いので読んでみた。
その感想とかダラダラと述べる。

以下、本の内容について触れているのでネタバレ的なものが嫌な人は読まないほうが良い。

本の概要と感想

対象読者層は「部下を持つ社会人」だった。
前半の方では、「会社」という仕組みの成り立ち、部下が転職を決意する瞬間はどこにあるのか、モチベーションを上げるためには上司としてどういうアクションをしたら良いのか、といったことが述べられ、最後の章で、チームで仕事をして成果を出していく大切さや喜びについて書かれていた。
筆者が本当に言いたいことは最後の章に詰まっているのではないかなぁと思う。

ーーー
まず、この本でいう出来る人とは「いつでも舵取りの上手い船(会社)に乗れるくらいにはスキルを持っている人」だと思われる。
その前提を明記していないので、このタイトルは少し商用的な施しがなされているなと感じた。
全体的に「あるある」が多かったが、その「あるある」が発生する理由や対応が体系的に纏まっていてスラスラ読めた。
目次を見ればだいたい内容がわかるのと、各章のまとめがあり、ポイントは太い黒字で書かれているので、かいつまんで読むのが楽。


1章「会社に所属する理由の変化」で、会社は人の欲望を満たすものであり、昔は「食欲」、今は「自由」を欲しているという切り口で語られているのはなかなか良かった。
ただし、これは同じような文化・教育・生活レベルにいる人たちの間の話であり、別の国では安定的に安全な食を手に入れたいという欲望が大部分なのではないか。なので、この本に書かれている内容はどこでも通用するかというと、微妙かなと思う(例として、中国は独特の価値観を持っているので彼らの流儀を知らないと商売がうまくいかないというのは有名な話である。)。


2章で書かれているのは、辞める決意をした人間を引き止めるのは難しい。が、予兆はどこかしらから出ているはずなので、普段から部下の言動をみておこう。もしヤバそうな感じだったら目線を変えてあげるアクションを取ろう、といったところ。
転職を考えている人がいいそうな事みたいなのがかかれていたけど、今色んな所でよく耳にするワードが入っていて少し笑ってしまった。
組織や上司に対する不信感、評価制度の不透明さ、社内スターの欠如、当事者意識の欠如、社への既決感...

個人的に、部下の様子をみるのって上司自身が余裕が無いとできないだろうなと思う。
小さなサイレンを聞き分けるには、センスや人身を読むスキルが必要。
対話の時間をとるために1 on 1みたいな文化があるのだろう。
でも、そもそも上司が信用されていなければ対話をしたとして不平不満は上がってこない。


3章のメインは、仕事の意義をどう作り出していくかということだった。
でも個人的に面白かったのは、近年では「父性的な概念で強制的に全体を動かすやり方」→「個人に選択の自由を委ねるやり方」に変わったという点。
本でも触れているが、時代によってこの2つが行き来している。今は後者の方だけど、年代によってこれに気づいていない人も本当にいるので変な争いが起きたりもする。
あと、人材流出の失敗をした時に「失敗への対処」「失敗しないためにはどうすればいいか考える」まではやるけど「失敗を生み出した構造そのものの改革」までしないと二の鉄を踏むよねという話も書いてあったのも良い。強いて言うなら「構造改革に終わりはない」という点も付けてほしかった(平和とは問題が問題とされない束の間のことをいうのだ)。

構造を変えることは、全体と細部をみる力がないと難しい。
時間が無い・余裕がないというエクスキューズを述べて付け焼き刃の修正をするにとどまることがほとんど。今の会社もそういう面がある。
ここで同僚の一言をあげよう。「バケツの穴を埋めずに流入を増やそうとする傾向にある」


4章は部下が変わるようなアクションについて述べている。
良い部下は良い上司から生まれるという。これには賛成だ。無能な上官が優秀な部下を殺してきた例はごまんと存在する。
この本は、まずは上司であるお前が変われ、という。部下を気持ちよく働かせるために自分がとるべきアクションを心得よ、という話。
このあたりは心理学的な分野にも噛むが、そんなに専門的なことは書いていない。ロールモデル、ライバル、スポットライト効果といった有名どころを紹介している。
この手の話についてもっと詳しく知りたければ、「How to Win Friends and Influence People(日本語タイトル:人を動かす)」という、日本の国民性が強く反映された邦題が付けられたDale Carnegie著の書籍を読むと良い。

本書がいうには、モチベーションの高さは「目標の魅力」x「危機感」x「達成可能性」によって決まるらしい。
なるほど、いわんとしていることはわかる。
危機感は諸刃の剣ではないかなと思う。不満が増大するきっかけにもなる。燃え尽きてしまう人を多く見てきた。
まぁ逆もあって、連帯感を植え付けるチャンスでもある。


5章は、社の人間とは運命共同体であることを認識し、チームで助け合い成果を分かち合って働く土壌を作ろう。良い影響力を与える上司になろう。という感じの事が書かれていた。
土壌づくりは大事だなぁとつくづく思う。人(チーム)に合った土壌づくりをするのが腕の見せどころなのではと思う。
筆者が一番主張したいところって、たぶん5章につまってるんだろうなーと感じた。



全体的に簡潔な文面で、読みやすかった。
長期的に改善したほうがよいことと(考え方とか)、すぐに行動に移せるようなこと(部下へのアクション)が書いてあったので、わりと良書なんじゃないかなと思った。
とりあえず、会社に一冊入れておいた。