僕とコードとブルーハワイ

omega (@equal_001) の日記

今更かという感じだけど、ボヘミアン・ラプソディを観た。

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クイーンというバンド名は知っていて曲もいくつか知っているけど、フレディ個人名義の曲との区別ついてないみたいなそんなレベルの知識だったので観ていて新鮮だった。一方で、これはフレディがどういう人間だったのかというのをある程度知らないと「ん?」と思う描写が多かったと感じた。わりとファン向けな映画かなという気がした。

フレディが人生の大半が孤独だったという話はなんとなく知っていたが、実際これが実話ですと物語を観させられるとキツいものがある。
現代ですらまだセクシャルマイノリティへの風当たりが強いのに、あの時代はどれだけの偏見の目にさらされたんだろう。
周りの人たちに本当の自分を認めてもらえない、打ち明けようとも大事な人に拒否されるかもと思って怖くて言えない、ということほど辛いことはない。
フレディはそれをずっと抱えて生きてきたから絶対に癒やされることのない孤独を抱えてしまったのかもしれない。

フレディが個人的に凄いなと思ったのは、天才的な歌唱力があるのにも関わらず自分は歌手ではなくパフォーマーだと言っていたところ。これは本当に心の底から人に何かを伝えたいという情熱があったからなのだと思う。酒や薬に溺れたり治らない病に侵されてもパフォーマンスはやり遂げる、真のプロだった。自分は今やっていることにこんなに情熱的になれているだろうか?と反省してしまった。
最後のライブは本家のほうも観たが、文字通り圧倒された。20分くらいあるのにずっと夢中で観ていられるなんて久し振りだった。あの場に居た人たちはなんて幸運なんだ!と思いながら観ていた。

なんだかんだ喧嘩しつつも互いの才能を認め一緒にクイーンを続けた仲間や、男女として一緒に歩めなくても別の形で愛し続けたメアリーの存在はとても温かかった。
様々な事情がある中で、どうしても世間一般の、大多数と同じ形での家族を作ることは難しいことがある。マイノリティは日々そのギャップと戦ったり自分が機能不全なのではという不安に駆られたりする。フレディや周りの人々の生き方は、そんな不安を抱える人達の一つのモデルケースになっていると思う。自分もそっち側の人間なので色々悩んだり嫌な思いをすることがあるので、この映画に本当に励まされた。

いろんな形の家族があるのは良いことだ。自分たちが幸せに生きられる居場所を独自に作って何が悪いんだろうか。
普通なんて本当はなくて、蓋を開ければ千差万別。
日本人は他人のことを自分の事のように感じる傾向にあるから余計に同じであることが正しく外れたものが悪と思いがちだ。自分に関係のないことなのに有名人の浮気や不倫報道に対し一斉に叩くのはその精神の現れでもある。みんなもっと純粋に、自分の幸せに目を向けて生きてくれ。


という感じで、様々な感情が湧き出てくる良い映画だった。
久し振りに一倍速で観ても飽きなかった。